児童発達支援管理責任者(児発管)は、障害がある子どもの発達に応じて、個別支援計画の作成を行ったり、家族支援をする仕事です。この記事ではそんな、児発管の仕事内容やどうすればなれるのかをまとめています。
児発管とは
児発管(児発管)は、子どもの成長や発達に焦点を当て、家庭や機関と連携しながら、子どもたちの療育・支援を進めるリーダーの役割を果たします。児童福祉法に基づく障害児支援施設では、最低でも、ひとり以上の児発管の配置が必要です。
児発管は事業所内で子どもたちの支援計画を策定し、関係機関との円滑な連携しながらその実施を担当します。さらに、指導員を指導し子どもたちの日常的なケアや教育プログラムの運営の指揮も行います。
そんな児発管は、放課後等デイサービスや児童発達支援などにおいて、子どもたちが安心して成長できるように尽力しています。子どもたちの発達ニーズに応じた支援を提供するため、子どもたちとその家族との密接なコミュニケーションが不可欠です。
また、児発管と混同しやすいサービスの管理責任者(サビ管)とは異なり、児発管は児童福祉法に基づく福祉サービスの中で、特に子どもたちに焦点を当てた支援を担当します。サービスの管理責任者は子どもだけではなく、成人も含む障害のある方々を対象としたサービスを取り仕切ります。
つまり、児発管は、子どもたちの健やかな成長をサポートし、関係者と協力して支援の質を向上させる鍵となるプロフェッショナルとも言えます。
児発管(児発管)の役割と仕事内容
ここでは、児発管の役割と仕事内容について詳しく紹介します。
個別支援計画の作成
まずサービス提供開始前に利用する子どもたちとその保護者と面談(アセスメント)を行います。ここで子どもの発達状況や心理状況、保護者の期待などを把握し、これをもとに個別支援計画の原案を作成します。
この原案は、関係者である指導員やスタッフとの協議を経て修正され、最終的に本人や保護者の同意を得て完成です。個別支援計画には、支援方針や到達目標、当面の目標、具体的な支援内容などが含まれます。
そして、これは作成後も経過観察と保護者面談を通じて定期的にモニタリングされ、必要に応じて修正・アップデートを行います。
保護者への支援・指導員の指導・地域連携など
児発管は、個別支援計画の作成だけでなく、児発管は保護者との定期的な面談を通じて、心理的・物理的な支援を提供し、子育てにおける負担を軽減します。同時に、地域で必要とされる支援を受けられるよう、地域連携を担当します。
この地域連携では、教育機関や医療機関、自治体などの機関との情報交換や支援内容の調整が必要です。児発管は、窓口となりながら、子どもたちとその家族が地域でサポートを受けやすい環境を整える役割を果たします。
さらに、指導員の指導も行うのが児発管です。身の知識と経験を生かし、他のスタッフの指導を通じて、子どもたちへの支援が計画通りに進行しているか確認し、必要に応じて調整を行います。この指導は、支援を提供するプロフェッショナルとしての役割を果たす上で欠かせないものです。
児発管になるための経路
児発管になるには、実務経験と研修の終了が不可欠です。研修を受けるには、実務経験の要件を満たす必要もあります。
2019年に研修制度が見直されたことで、多くの人が資格試験を目指しやすくなりました。しかし、働いている事業所や業務内容によって、必要な実務要件の経験年数が異なるため注意が必要です。
そんな児発管になるための大まかなルートとしては、「直接支援・相談支援業務ルート」と「国家資格ルート」の2つに分けられます。
直接支援・相談支援業務ルートでは、該当をする施設での3年以上、経験が求められます。うち1年以上は障害者や子どもを対象とした直接支援業務・相談支援業務を行う必要があります。
また、国家資格ルートでは、特定の国家資が必要な業務を3年以上求められます。こちらも1年以上は、直接支援・相談支援業務が必要です。
実務経験の計算方法
実務経験の計算は、週平均4日以上の勤務で年間180日以上が1年となります。時短や数時間の勤務でも勤務日数があればカウントされますが、自治体によっては異なるため確認が必要です。
研修制度とは?
児発管になるためには基礎研修と実践研修が必要です。基礎研修では、支援サービスの基本的な考え方や個別支援計画の作成方法などを学びます。一方、実践研修では、児童福祉の最新動向や連携方法、人材育成手法などに焦点を当てます。
研修の申し込み方法と注意点
研修は通常、勤務する事業所を通じて申し込みます。定員が限られており、希望のタイミングで受講できないことも多く、事業所内で受講推薦が一般的となっています。自治体ごとに研修の内容や受講方法が異なるため、事前に確認が必要です。
児発管としての仕事は、子どもたちの健やかな成長をサポートする重要な役割を果たす一方で、その道のプロになるためには一定の実務経験と研修の積み重ねが必要となります。
児発管になるためには何年かかる?
児発管になるためには、最低でも5年以上の実務経験と研修修了が必要です。さらに、実務経験は年間で180日以上の勤務が必要であり、研修には受講制限があるため、通常は6年以上の期間を要します。
つまり、児発管として働くには一定の時間がかかることが分かります。それだけ、専門性やスキルを求められている仕事とも言えるでしょう。
児発管の主な就業先
児発管の就業先は、主に障害児支援サービスを提供する事業所で、児童発達支援や放課後等デイサービスなどが該当します。
児童発達支援では、未就学児を対象に基本的な動作の指導や知能技能の付与などを行います。一方、放課後等デイサービスは就学児以上を対象にし、生活能力向上のための訓練や創作活動などを提供します。
上記の他にも、子どもの自宅へ出向く居宅訪問型サービスを提供する訪問系サービスや、障害のある子どもが入所している施設の入所系サービスなども就業先として選択肢にあるようです。
児発管の給料
児発管の年収は、2021年の統計によると約478万9,200円であり、管理職としての重要性から、福祉・介護職と比較して20%ほど高い傾向があります。主要都道府県の平均給与は、東京都が約28万2,000円~35万4,000円、神奈川県が約30万1,000円~37万1,000円などとなっています。
ただし、月ごとの残業手当などは統計に含まれておらず、実際の支給額はこれよりも高くなる可能性があるようです。
児発管としての役割は非常に重要であり、障害のある子どもたちに対する総合的なサポートを提供する役割を果たしています。そのため、この職業には高い専門性とスキルが求められ、給与もその重要性に見合ったものとなっています。
まとめ
ここまで、児童発達支援管理責任者について、紹介しましたがいかかでしょうか。児発管は、障害のある子どもひとりひとりの発達に応じて、個別支援計画の作成をはじめ、家族支援も行う仕事です。
資格の取得には実務経験と研修の終了が必要なため、その要件は複雑になっています。ぜひ参考にしてみてください。