放課後デイサービスとは、障がいのある子どもが放課後に通うことができる施設です。放課後デイサービスは、利用者が固定されやすく継続的に通ってくれるため、安定感のある経営が期待できる分野です。今回は、放課後デイサービスを開業したいと思った場合にどれくらいの資金がかかるのかについて紹介します。
放課後デイサービスの開業資金の目安
放課後デイサービスを開業するには、どれくらいの資金が必要なのでしょうか。詳しく解説します。
開業資金はどれくらい必要なのか
一般的な放課後デイサービスを開業する場合、開業費用はおよそ1,500万円といわれます。すべてを自己資金から捻出するのは難しいため、多くの方が融資を受けて開業することになるでしょう。公的な融資のなかには無担保、保証人なしで受けられる融資があるため、新規で事業を行う場合は、公的な融資を利用することを考えるのをおすすめします。
民間の金融機関はきちんと返済していけるのかといった点をシビアに考えるため、新規事業者の場合実績がなくハードルが高く融資を受けられない可能性もあります。ある程度開業して実績がある場合は、民間の金融機関から融資を受けられるようになるでしょう。もし最初から民間の金融機関からの融資を受けたいのであれば、信用保証協会を活用するといった選択肢もあります。
また、放課後デイサービスといっても定員が少なく必要なスペースも省スペースで運営しているところもあり、開業資金が少なくすむ場合があります。自分がどんな施設を開業したいのかによっても必要な資金は変わってくるため、市場調査をしっかり行いましょう。
運転資金も考慮に入れる必要がある
開業資金がどれくらいかかるのかだけではなく、開業してしばらく運営していけるのかどうかも考えなければなりません。スタッフへ給料やテナントの賃料など毎月かかってくる運転資金も、ある程度準備しておく必要があります。
開業にかかる費用の内訳
開業費用は具体的にはどんなものに費用がかかるのでしょうか。詳しく解説します。
金額が大きなもの
まず「賃貸料金」です。物件の賃料や規模にも大きく左右されますが、敷金や保証金などで50万円ほど見ておく必要があります。また毎月の賃料や駐車場代などもかかるためよく確認しておきましょう。
つぎに、「内装の工事費用」です。民家を利用する場合や居抜きの物件の場合は内装の工事にあまり費用をかける必要はありませんが、全面内装工事が必要な場合は200万円から600万円ほどかかります。エアコンの設置やトイレ、部屋の仕切りなどさまざまな工事が必要になります。肢体不自由の利用者がいることを想定すると、通路やトイレのスペースを広くとるといったことも必要になるでしょう。
さらに、「車」も必要です。放課後デイサービスは学校から事業所、事業所から自宅までなど車で送迎を行うところも多くなっています。送迎サービスがあれば自宅から遠い事業所でも通うことができる、保護者が送迎しなくてよいので仕事をすることができるといったメリットがあります。
車はどんなものを購入するかによって金額が大きく異なります。一般的な車なのか、新車か中古車か、福祉車両なのかといった条件によって金額に差はありますが、50万円~500万円ほどと考えておきましょう。
そのほかの費用
開業費用にはほかにもさまざまな備品が含まれます。たとえば、ネット回線や電話工事に数万円、消防設備に15万円から100万円、事務用品などに30万円~60円ほどかかるでしょう。また、子どもたちが利用する療育の訓練器具も必要になります。どんなものを利用するのかによって費用は大きく変動しますが、壁を工事してボルダリングを設置したいといった大規模な設備を設置するとなると費用は高額になるでしょう。
補助金や助成金を活用すれば安くなる
事業をスタートする場合、上手く補助金や助成金を活用することもできます。
活用できる補助金や助成金
非正規で雇用した人を直接雇用や正社員雇用することで、キャリアアップ助成金が支給されます。IT導入補助金はITツールを導入する場合に経費に対して補助金が出るというもので、請求ソフトを導入するといった場合に利用できます。補助金や助成金には細かなルールがあるため、ルールや金額などを確認するようにしましょう。
助成金や補助金は後から支払われる
助成金や補助金は基本的に後払いとなっています。そのためお金を先に受け取ってその費用を開業資金にあてるといった利用の仕方は難しくなっています。開業した後に申請しておいたものが振り込まれるというイメージをしておくとよいでしょう。補助金や助成金あり気の経営をするのではなく、開業費や当面の運転資金はある程度準備しておくことが必要になります。
まとめ
放課後デイサービスは開業すると利用するのは固定客が多く、長期にわたって利用することが見込まれるため、安定した経営をしやすいのがメリットです。施設もキャンセル待ちのところが多くニーズが多く、今後新規開業しても利用者が十分見込めるサービスといえるでしょう。
ただし、経営が安定しやすいとはいえ、開業資金はある程度必要です。顧客が利用したいと思える施設の設備や内装、送迎車などを用意するとある程度費用が必要になります。助成金や補助金は利用できるものもありますが、後から支払われるため開業資金としては活用できません。自己資金と融資である程度開業資金と当面の運転資金を確保する必要があるでしょう。