放課後等デイサービスを開業したいと考えている方のなかには、経営者としての報酬や将来性が気になって、なかなかスタートの一歩を踏み出せない方も多いでしょう。この記事では、放課後等デイサービス経営者の年収や儲かる理由、収益を上げるポイントについてお伝えいたします。
放課後等デイサービス経営者の年収
放課後等デイサービスの経営者の年収は400〜500万円が相場です。これは、レストランやカフェ、バーの経営者年収と同等か上回る水準といわれます。ただし、経営者の年収は、事業所の収益率や役員報酬の設定などによって異なるのが実情です。
ほかの事業と兼業している経営者では、放課後等デイサービスの役員報酬をゼロにして、ほか事業からしっかり報酬を得ているケースもあります。5施設以上経営すれば、年収1,000万も夢ではありません。
放課後等デイサービス経営者の年収が比較的高い理由
放課後等デイサービス経営者の年収が比較的高い理由として、以下の点が挙げられます。
開業資金が低い
放課後等デイサービスを開業するだけならば、500万円から可能です。法人設立、物件取得・内装施工、送迎車の購入、人員採用、利用者募集、備品購入などの初期費用を合わせても約1000万円で開業できます。また、在庫を抱える必要がなく、高額な設備・備品も不要なため、初期費用を抑える方法も多々あります。
利益率が高い
放課後等デイサービスの利益率が高い点です。平均で15〜20%の利益率を誇り、稼働率が100%の事業所ならば、利益率3割以上も夢ではありません。放課後等デイサービスの売り上げは、利用者負担分が1割で残り9割が障害児通所給付金という公費でまかなわれるため、収益が安定しやすいです。
サービス提供の翌月上旬に請求を行うと、翌々月の中旬頃には国保連から報酬額が支払われるため、債権リスクがほとんどなく安定性が高いこともメリットです。
将来性がある
2012年から2020年にかけて放課後等デイサービスの事業所数は約6倍に、利用者数も約5倍に増加しています。コロナ禍での児童の預け時間が増えたことも売り上げアップにつながりました。地域による事業所数の差は大きいですが、今後も良質なサービスの普及が望まれています。
放課後等デイサービスで収益を上げるポイント
放課後等デイサービスは、福祉分野において収益性が高いビジネスの一つです。しかし、成功するためには以下の重要なポイントを押さえる必要があります。
質の高いサービスを提供すること
放課後等デイサービスで収益を上げるためには、質の高いサービスを提供することが大切です。地域によっては事業所の競争が激しくなっているため、ほかの事業所との差別化を図る必要があります。
法改正や報酬改定によって、一人一人の利用者に対して質の高い支援を行う事業所が高い評価を受ける仕組みになっています。医療的ケア児の基本報酬区分が創設されたことも報酬体系の変更の一つであり、看護職員の配置を手厚くすることで高い報酬を得られます。
開業に当たっては、どのようなコンセプトで児童に療育を行うのか、その設計が必要です。特色のある療育プログラムを組み、スタッフの質を上げるなど、ほかの事業所との差別化を図ることが大切です。
積極的に加算を獲得すること
放課後等デイサービスの報酬は、法律で決められた加算をしっかりと獲得することで確実に増やしていけます。まずおすすめしたいのが「児童指導員等加配加算」です。人員配置基準を満たしたうえで、たとえば保育士の資格を持つ方を常勤換算で1名以上配置すると、児童指導員等加配加算を算定できます。
また、理学療法士や言語聴覚士、作業療法士、さらに心理担当職員などの専門スタッフを配置して得られる「専門的支援加算」もおすすめです。リハビリテーションの専門職を採用すると、加算が得られるだけではなく、児発管が個別支援計画を作成する際にも助けとなってくれます。
スタッフが普通免許を持っているならば、児童の送迎をして「送迎加算」を取るのも得策です。付与される単位は54単位と多くはありませんが、加算できるポイントはしっかりと取っていくことが大切です。
人材を定着させること
スタッフが離職してしまうと、一時的ではあっても人員配置基準を満たせなくなり、基本報酬が減算され、事業所の売り上げが減少してしまいます。求人広告費用がかかるだけでなく、抜けたスタッフの穴埋めのためにほかのスタッフが残業しなければならないかもしれません。
業務マニュアルを用意し、IOTの活用、従業員同士のコミュニケーションを円滑にする工夫、評価制度の導入などで、スタッフの負担を減らし、ストレスが少なくモチベーションを維持できる環境を作ることが大切です。
まとめ
放課後等デイサービスの経営者は、400〜500万円の年収を得ていることが多く、将来的にはさらに高収入を目指すことも可能です。開業資金が低めで、利益率が高く、安定性があり、将来性も期待できる点が魅力です。収益を上げるためには、質の高いサービスの提供、積極的な加算の獲得、人材の定着が重要です。放課後等デイサービスの経営を検討している方は、これらのポイントを意識して事業を進めてみてください。