これから放課後デイサービスを開業したいと考えている人に、資格、条件、資金について紹介します。ほかの業種と比較すると小資本で始められるメリットがありますが、開業までに色々と準備しなければいけないことがあります。また、自分だけではサービスを提供できないので、専門的な資格を保有しているスタッフも確保するようにしましょう。
放課後等デイサービスの現状
障害児の数は増加しています。今後もサービスを受けたい人が存在するでしょう。
概要
障害児を支援するサービスを指します。小学校、中学校、高校に通っている就学児童がサービスを利用できるようになっています。学校の授業が終了した後にサービスを利用できるので、働きに出たくても出られなかった保護者が安心して仕事に就けるようになります。
また、夏休みなどの長期の休みでも対応してもらえるので、自宅で長時間過ごす必要がありません。障害児にとってもストレスが蓄積されないようになっています。さらに、ただ預かってもらうだけではなく、生活能力を向上させるための取り組みや、自立できるような支援を行っているので、保護者の良きサポーターとして支援しています。
障害児の数は増加している
少子高齢化社会ですが、障害児の数は増加しています。そのため、放課後等デイサービスの需要が高まっています。2011年ではおよそ15万2,000人でしたが、2016年にはおよそ21万4,000人まで増加しています。それに伴い、令和2年では1万5,000件以上の施設が運営されています。
放課後等デイサービスを開業するための資格や条件
資格や条件が細かく規定されています。規定を満たしていないと運営できないので、細かい部分も確認するようにします。必要な人員も確保しなければいけません。
法人であること
個人事業主では運営できない決まりになっています。ただし、株式会社でなくても問題ありません。合同会社やNPO法人でも問題ありません。大切なことは法人格を持っているということです。そして、事業内容に介護事業を行う旨を記載する必要があります。
管理者の基準
資格を所有している必要はなく、ほかの職務と兼務できるようになっています。常勤で1名確保しなければいけません。
児童発達管理責任者
こちらは、児童指導員または保育士が務めるようになります。事業規模に応じて、常勤のスタッフを1名以上確保しなければいけません。
児童指導員
こちらは、児童指導員または保育士が務めるようになります。児童指導員または保育士のうち、1名以上は常勤です。そのほかは非常勤でも問題ありません。
専用区画・設備・器材について
指導訓練室、事務室、相談室などの区画について細かく規定されています。たとえば、相談室は、相談内容が外部に聞こえないように配慮しなければいけません。そして、事務室は、職員や設備の備品が収容できる広さを確保していることが大切です。そのほかにも、設備は訓練に必要な機械や器具などが揃っていること、衛生面の配慮を怠っていないことが規定されています。
運営の基準について
サービスを利用する定員が10名以上となっています。ただし、重症の心身障害を抱えている場合は5名以上となっています。また、事業を運営するために個別支援計画が作成されていること、提供しているサービス内容や手続きについて、説明を実施して同意を得ていること、サービスを提供するスタッフに対して、必要な指導や訓練などを実施していることが条件となります。
放課後等デイサービスの開業に必要な資金
小資本で始められますが、すぐに報酬を獲得できないので、運転資金を多めに準備しておく必要があります。金融機関などから資金調達できるように準備しておきましょう。
ほかの業種と比較すると小資本で始められる
自己資金だけで事業を運営するのは難しいですが、ほかの業種と比較すると小資本で始められるのが魅力的です。そのため、資金調達のための準備を進めながら、自己資金で準備できる部分は進めていきましょう。
ただし、こちらのサービスは初月から報酬を獲得できるものではありません。サービスを提供した月の報酬は2か月後に獲得できるようになっているので、すぐに現金が底をついてしまわないように、2~3か月分の運転資金を用意しましょう。
初期費用
法人の設立費用、不動産に関する費用、施設の保険費用などが発生します。法人を設立するときの費用は、株式会社ではおよそ20万円、合同会社ではおよそ6万円となっています。また、設立に必要な期間も、株式会社はおよそ1か月、合同会社はおよそ3日となっています。
運転資金
家賃、光熱費、人件費などが発生します。事業が軌道に乗るまでは運転資金を多めに準備しておく必要があります。できる限り費用を抑えるように工夫しましょう。
まとめ
少子高齢化社会ですが、障害児の数は増加しています。今後もさらに需要が増加することが考えられるので、開業を考えている人は前向きに行動しましょう。また、オーナーが資格を保有している必要はないので安心してください。必要なスタッフの確保、資金の準備、土地探しなど、開業に向けて実施する項目は多くありますが、関係機関と連携して1つずつ進めていきましょう。